2022.10.21-23
ジュニアオリンピックU16陸上競技大会
大会2日目
私は選手ではないのに朝4時から目が覚め
そこから眠れず、、、
(しかもまだレース前日)
トウゴは8時間しっかり熟睡…(さすが)
競技場全体をゆっくり歩いてから
サブ競技場で自分の練習へ
自分のペースで、自分の走りに集中するも…
同じU16ハードルに出場する選手たちの
もう全然レベルが違いすぎて…
身長も肉体も、技術もスピードも、
凄すぎて…
予想はしていたものの、
生で、近くで、走りを見て
肌で感じるエグさに
トウゴでも自信喪失するほど…
一緒に走るトウゴが可哀想になるほど
ハードル練習していたどの選手も
トウゴより遥かに速い人たちばかりで…
正直、私も吐きそうでした… 汗
(まさに、漫画SLAM DANKの、王者・山王戦の前夜に、過去の山王の次元が違いすぎる試合のビデオを見た後の湘北メンバーの自信喪失の表情… )
それでも
トウゴの持てる力をいかに発揮できるか
少しでも良いコンディションで
本番を迎えられるよう
今できることを丁寧にやるしかない…
前日も、
なかなか思うようなハードリングができず…
自信喪失の中
恐怖感と、焦る気持ちと、
どこにぶつけていいかわからない
苛つき、フラストレーション…
全国の強豪がひしめく
この場に来れただけでも
本当はもっと、堂々と胸を張って良いこと
だと思うけれど
というか、
もっとリアルな言葉で表現するなら、
何をしたらそんなエグいスピードで
ハードル走れるの?っていうくらい、
キモいくらいのバケモンばっかり… 汗
そんな選りすぐりの選手たちと
勝負できることに誇りを持ってほしい
というのはあくまで外からの感想で
本人の感情としてはそう簡単ではない
というのも理解しつつ…
近くでサポートや勇気づけの言葉を贈れたとしても
最終的にはやはり
トウゴ自身の力で、乗り越えるしかない
恐怖と、ワクワクと、
全国大会の独特な空気を全身で感じながら
精神的に、強くなるしかない…
長い時間、繰り返しハードルに向かっていき
翌日の本番に向けて、しっかり練習しました
そしてついに、本番当日
2022.10.23 大会3日目 早朝
実際に走るメイン競技場へ
なんとも言えない澄んだ空気と静かな競技場
競技場と対話するかのごとく
トウゴに変な緊張感はなく
とても落ちついていました…
実際には、軽めに体を動かした程度で
スタブロを一回だけ
結局、1台目のハードルさえ跳ぶことなく
早朝のウォーミングアップを終えました…
(その後、色々大変でしたが…
長くなるので今回は省略します… 汗)
午前中、いよいよレースに向けた準備へ
アスリートビブス
胸には都道府県名、背中には都道府県No.
諸事情で遅れてしまったトウゴが
サブ競技場に行くと…
すでに、男子110mH用の4レーン全てに
20人以上の選手が列を成して
ものすごい勢いでガンガンスピードを上げて
走り込んでいました…
体格の良い選手たち一人一人に対して
陸上界で長年指導してきたような
ベテランの専門コーチがマンツーマンの
つきっきりで、直前まで細やかなアドバイスやフィードバックを行っていました…
まさに、選手もコーチもガツガツに
この日のために命を懸けてきた、というような熱気とオーラにまみれていました…
そんな中、ただひとり
一番遅くに現れた人物がまさに… 苦笑
周りが速すぎて凄すぎて
気分が悪くなるので… 苦笑
「周りをもう見ないで、気にせず、
自分のことだけに集中しよう」
と声をかけると、
トウゴは素直に頷きました
なのに…
さっき確かに
頷いたはずなのに…
その後も、1人あぐらをかいて座ったまま
バケモンたちの走りを見物… 笑
というか、ガン見… 笑
(それも確かに勉強になるけれど…)
「もう見んでええから、体動かそっ‼︎
時間マジで無いから…‼︎ 汗」
そんな感じで、
トウゴがスパイクを履いて
練習を始める頃には
他の選手は全員いなくなり、
早々と、招集所へ…
ハードルのアップで
1人残ったトウゴ…
その上、
ハードルがイマイチ跳べない…
まだアップも思うようにできていないけど
招集時間が迫ってくる中、なんと…
トウゴがいきなり、
「スタートの足、逆にしてみるわ。」
って、マジか…⁈ 大汗
1台目が上手くいかないからと、、、
招集12:05 で
サブ競技場に110mHの選手が誰もいない中
12:00 に、足を逆にしてみる…⁈⁈
長年の夢だった、憧れのレースの直前に
全然跳べていないまま
足を替えてみようかなって…
なんと悠長な…
そして、
「やっぱり合わんわ〜 辞めとこ。」
って…。
なんか、逆に凄いわ…
その感覚というか、器というか…
結局そのまま、
47都道府県、最後の選手として招集所へ…
トウゴの思考や感覚は理解不能…
トウゴのこの数年間の成長
この数週間の練習と生活
そして大会へ来てからの3日間
その全てを間近で見ていての結論…
正直に言えば、、、
この高さのハードルに関しては
今回、
8.9.10台目のどれかで
後半のハードルが3歩で行けずに失格
もしくは
前半のハードルのどこかで
ハードルをぶつけたり倒してしまい
転倒しないとしてもトラブルで失速
もしくは
ハードルは最後までトラブルなく
跳べたとしても
17.5秒くらいの記録で
組ではダントツのドベでゴール
という3つのシナリオ
これは大袈裟でも盛ってるわけでもなく
そういう可能性が高い状態で
本当に不安しかありませんでした…
せめて、
嫌な思い出やトラウマになってほしくない
それだけは勘弁してほしいなと…
もう、ただひたすら
祈ることしかできませんでした
そして、ついに
U16男子110mH(99.1/9.14)
予選6組中、第5組目にトウゴが登場
5組目の第5レーン
トウゴの5が揃って、
もうこうなったら
縁起が良いと思い込むしかない… 笑
トウゴ、GOー‼︎GOー‼︎だ! 笑
もうなんでもええから、
神さま味方してちょーだい‼︎
と、願うばかり…
果たして、ハードル跳べるのか
大丈夫なのか
直前練習
1台目のハードルに強くぶつけて倒し
そのまま2台目と3台目を跳び超えて
いよいよ、スタート…
高校生2名とハーフの速い選手を始め、
トウゴより記録が断然速い格上の選手ばかりがエントリー
更に言えば、
今年の日本陸上選手権・U16大阪室内60mHで全国2位・3位・7位入賞の強者が皆、この組に集結… 汗
正直、次元が全然違う選手たちと
今から走るというのに
そして
トウゴは全然跳べていないというのに
そんな雰囲気は微塵も見せない
堂々たる落ちつきぶり… 笑
大きな電光掲示板と、
それから生ライブ配信のカメラにも
トウゴは結構長いこと映されていて
知らない人が見ると、
速い注目選手なのかと
勘違いしそうな雰囲気で… 汗
隣には今回トップクラスの高校生が並び
トウゴはド真ん中からのスタート
長年の透悟の夢
その舞台に
そのスタートラインに
ちゃんと立つことができました…
思いっきり、楽しんでほしい…
無事に、最後までゴールしてほしい…
願いはもう、ただそれだけ
スタート‼︎
号砲と同時にトウゴが飛び出し
中国大会を彷彿させる最高のスタート‼︎
1歩目の着地は、トウゴがまさかの1位‼︎
まだ置いて行かれず
決して、遜色のない走り
1台目、2台目、3台目と、
一切当てることなくキレイに跳び超え、
この高さでは過去最高のハードリング…‼︎
格上選手たちに喰らいつく見事な走り…‼︎
今回、決勝で全国2位になった選手と、
B決勝に進出したハーフの選手には
離されたものの…
それ以外の凄い選手たちには
そんなに負けていない堂々の走り… ‼︎
ハードルにぶつけることなく
見事なスピードで
キレイに3歩で
良いリズムで
信じられないほどの快走…
格上選手たちの前を走り…
最後の10台目まで美しく…
厳しい組で、立派な4位!!
しかも、自己ベストを0.40秒も更新‼︎‼︎
U16最終選考会からは
なんと1.42秒も速い記録でゴール‼︎
想像をはるかに超える走りに
中国大会決勝以来の衝撃を受け
心から感動しました…
トウゴ自身は決勝(6組1着+2)に行けず
悔しがっていましたが…
いや実際、
どんどけ本番に強いんだ、と…
何度も言うように、ぶっちゃけ
相当、
心配と不安しかありませんでしたが…
なんで本番でいきなり
あんな走りができるのかと…
リアクションタイム(スタートの反応の速さ)に関しては、組で2位‼︎
しかも、予選6組合わせても全体8位‼︎‼︎
決勝&B決勝と比較しても
0.002秒差でトウゴは2位‼︎
それほど、
今回のトウゴのスタートは見事でした
トウゴにどうやった?と聞くと、
「うーん、まぁ。記録クソやん… 」
100点満点で、何点くらい?
「…51点」
えーっ?!
練習で全然跳べてなかった人が
よう言うわっ‼︎ 笑
と、思ったけど…
たぶん、
出場することだけが目標だったトウゴは
もうすでに
次のステージを歩み始めているのかなと…
全国の舞台に立つだけでは
出場するだけではもう満足できない感覚に…
そんなに緊張しなかったというトウゴは
ボソっと
「もっと立派な、国立競技場とか、もっと大観衆の中で走りたい…」
(愛媛のスタジアムに失礼な… 苦笑
と思いつつも… )
器、の違いを感じる、
まだ透悟にとっての序章に過ぎない
という空気感でした…
そして、ゴールしたあとすぐに
約2時間後にある
ハードルの決勝さえも見ようともせず、
とっとと、「もう帰ろうや」の一言
最終日のクライマックス
110mHだけでなく100mや800mなど
楽しみな決勝が目白押しなのに
もう見なくていい、と…。
(まさに、漫画SLAM DANKの、神奈川最終予選、海南・陵南戦の試合の途中で、もう観なくていいと体育館を抜け出す花道・流川・宮城にそっくり… 笑)
結局、すぐに競技場を出ることになり… 苦笑
「もうここでやり残したことない?
忘れ物もないね?」
と確認すると、
トウゴがボソっと一言
「まぁ、賞状もらってないことかな… 」
ジュニアオリンピックU16陸上競技大会
親子で本当に素晴らしい経験を
させていただきました…
全国大会の独特な雰囲気を味わえたこと
そして、
大きな大会で強豪選手と一緒に走る時の
トウゴの本番の強さ
何より一番強く感じたことは
身体も大きく、毎日休まず相当鍛錬してきて、かなり完成に近づいている陸上強豪校の選手たちと違って
練習量も質も全然で…
田舎の普通の学校で
自由にマイペースに過ごしてきただけの
まだ未開拓すぎるトウゴには
マジで「伸びしろしかないわ」ということ
とにかく、透悟は有言実行
今回、自分自身の夢を一つ、叶えました
ジュニアオリンピック山口県代表選手として
無事にゴールすることができました
全国大会8位入賞
更には3位以内のメダルは
次のステージでの目標に…
シーズン1の小学陸上では
県3位と中国五県7位
シーズン2の中学陸上では
県1位と中国大会5位と全国大会出場
シーズン3の高校陸上では
全国大会のファイナリストを目指して
長い目で見て、少しずつ…
これからも、第一に走ることを楽しんで
自分の人生のために、自己と向き合い
自分の強さと美しさを磨いて
周りの人の支えや声援を力に変えることができる選手に
そして
多くの人に感動を与えられる選手に
成長してほしいなと…
本当に素敵な経験をさせていただき
感謝の気持ちでいっぱいです
追伸:「もう一つの夢」
今回は陸上部顧問の先生の諸事情により
引率コーチと帯同トレーナーを兼務する事に
これまで20年以上学んできた身体のトレーニングと食事とメンタルの専門知識と技術
カウンセリングやコーチングの学びと実践
それを他の選手だけではなく
仕事としてもプライベートとしても
自分の息子に直接貢献できることは
トレーナー冥利に尽きる、というのを超えて
大変しあわせな経験でした
親子二人三脚
陸上競技に取り組んできて
こうして夢の舞台に
親子で来ることができました
与えられた環境を
いかに良い環境に変えていけるか
置かれた場所で
花を咲かせる努力をしてきたか
全てを他人や環境のせいにするのではなく
自分に起こる出来事の全てを自責として
内省して行動して改善して習慣にして
目に見えないことを大切にして
丁寧に生きてきたか
そういう、
誰に見られることも褒められることもない
地道な毎日を積み重ねていくことでしか
辿り着けない世界があるので…
トウゴにも
ハルキ、ヒロト、ユキ、コウスケにも
嘘の塊でできた表面だけの
ペラッペラの無思考の奴隷にならず
そういう本当に大切なことのわかる
真を貫ける芯を持った人間に…
これまでの道のりと頑張りを一旦
素直に受け入れて、自分を認めて
また次の歩みに繋げて、活かして
(今回はすんなりツーショットに応じ…
でも太陽がまぶしく目が開かない… 苦笑)
これまで支えてくださった方々のおかげで
そして
透悟のおかげで
トレーナーとしても父親としても
幸せな経験をすることができ
心から感謝しています
共に、これからまた色々な景色を
見られる日を楽しみに…
(出たっ、真顔… 笑)
追伸2:おまけ
競技場を出たあと、お昼が遅くなり、
普段はあまり食べないラーメン屋さんしか
お店が空いておらず仕方なく…
珍しく、何も言わずトウゴ自らお酌を… 笑
それと、もうひとつ…
「おれの名前が濁っとるけぇ、
どうご(道後)温泉には行かんわ…。」
っていう… 笑
道後物語、終わり… 笑
透悟物語、つづく…
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