一瞬の風になれ

2022.6.19

第37回山口県中学校陸上競技選手権大会 兼
第49回全日本中学校陸上競技選手権大会標準記録突破指定大会(国体第11次予選)

大会2日目


これまでにない雰囲気でした…
試合前日の夜も、当日の朝も
とても落ち着いている様子でした…
「 K君やS君の記録がどうとか調子がどうとか
    そんなことは一切考えず
    ただ、自分の良い走りをしたい… 」

トウゴは静かにそう話していました…

これまでになく落ち着いていて

とても良い精神状態でした…
緊張もリラックスもちょうど良いバランスで

高いパフォーマンスを発揮しそうな予感がしました

それはもう、本人のオーラや顔つきが全然違うので
すぐわかるほど
逆に親の私のほうが
いかに無欲で無心でいられるか

静かに穏やかに
サポートに徹することだけを
心掛けました…


朝一のウォーミングアップも入念に
終了時間ギリギリ、最後の1人になっても…


その後、間もなく
110mハードル予選のアップに
すぐ出掛けていきましたが

ピリピリとした、とても近寄れない空気感でした…
直前練習でも
トウゴだけ追加練習を打診した様子…

正直、

キレッキレの走りでした




共通男子110mハードル予選 第3組目
2名欠場の4名でスタート



心の中で祈りました …




「 透悟 一瞬の風になれ 」  










スタートから過去最高のスピード感
隣りのレーンには長年のライバルの1人
スタートも1台目も2.3.4台目も同じスピード
5.6台目も差がつかず
技術のライバルと、スピードのトウゴの
一騎討ち
デートしとるん? 笑
と言いたくなるほど、一緒に走って
相手は小6、中1、中2とずっと県2位の選手
トウゴは小6、中1、中2が県3位→1位→3位

どちらもトップレベルで
凌ぎを削りながら成長してきた…
昨年は2人とも新たなライバルの出現で
1年間負けっぱなし
県チャンピオンには一度もなっていない…

そして
トウゴは昨年、骨折で大きく出遅れ
どちらの選手にも勝てていない
今年、王者の椅子をかけた
勝利への意志は半端ない…


負けられない戦いが そこにある
ここまでシンメトリーなハードルの戦い

今まで見たことがない…
最初から最後まで

見事なまでに横一線
見ていても
どちらが勝ったか全然わからない
そして

正式な結果が電光掲示板に…




なんと、2人とも同タイム‼︎‼︎
更に、0.005秒差でトウゴが競り勝ち
着差ありの1位‼︎
5月の春季県体で0.1秒差で負けた選手や
これまで1度も勝てていない昨年1位の選手を含めた全組の中で

なんと、
トウゴは予選総合1位で決勝に進出‼︎‼︎
これまでも異常なペースで毎回走るたびに自己ベストを更新し続けてきたのに、

更にその記録までも大幅に更新して
15.81秒‼︎‼︎ 自己ベスト‼︎

ついに15秒台に突入‼︎


悔しい思いしかしていない昨年1年間…

そして急ピッチで成長してきたこの数ヶ月…

全国への僅かな可能性にかけて
走り抜けてきたこの数ヶ月…


まだまだ大変な道のりには変わりはないけど
それでも
果てしなく遠かった全国標準突破記録まで

遂に、あと0.81秒まで迫りました…



そして、実に1年8ヶ月ぶりに
どでかい電光掲示板の1番上に
トウゴの名前が表示されました


過去最高のレースを終えたトウゴは
ほんの少しだけリラックス

身内や友人など
本当に多くの人が遠くから駆けつけてくれていました…
他にも、同じ学校だけでなく他の学校の保護者の方をはじめ
とてもありがたいことに沢山の方が応援してくれて
色々な場所で声をかけてくれました…




そんなひとときはすぐに過ぎ去り
あまりゆっくりする間はなく
すぐに決勝に向けたウォーミングアップへ





しかし…






恐れていたことが発生…







10日前から前日まで
かなり痛めていた両脚の下腿部が

予選時には軽減していたものの
予選を走り終わった後から疼痛が再発…

可能な限りのケアとサポートを施したものの

状態はあまり良くなく…



でもそれも仕方ないこと


できる限りの準備をして

今の状態の中で

出しうる最大のパフォーマンスを
発揮するしかない

全ては言い訳にしかならない


周りからは優勝の期待がかかる中

欠場するわけにもいかず

脚のことを人に言うわけでもなく


腹を括って
真っ向勝負で
全力を出し切るだけ

市の大会を突破し
県大会の予選を勝ち上がった決勝メンバー
強豪揃いの中で
惑わされることなく
いかに自分自身のベストの走りができるか
緊張感漂う独特の空気の中で

トウゴは粛々と集中


そして遂に、決勝メンバーの選手が入場

いつもと違って

先頭で登場してきたトウゴ


痛みなんて関係ねぇよ

今日勝つのは俺だから


そんな心の声が聴こえてきそうな顔つき…


いよいよ決戦の時


共通男子110mH決勝!


いつも以上に
トウゴはトウゴの空気を醸し出していて

気合い充分


県トップのライバルたちが全員揃って


直接対決‼︎





スタートと同時に横一線で走り出し






皆、勢い良く1台目を飛び越えて

トップ3人が早くも2台目からリード


トウゴは脚のキレが少し弱い感じで

それでも喰らいつく意思を感じる走り


しかし

2人が更に前へ


中盤から後半にかけて
痛そうな顔で 顔をしかめながら
必死に走るトウゴを見るのはこれが初めて…


ライバル2人にやや離され


更に後ろからの追い上げ激しく…






負けました…







背中を向けたまま ゆっくり歩き続け…

1人だけ後ろを一切振り返らずに

静かにずっと歩いていきました…



怪我で走れない時期があったからこそ
スタートラインに立ち
ゴールまで走れるという喜びと感謝が
きちんとある…



悔しいという言葉を書いてしまうと
軽くなってしまいそうなほど




感情が全身から溢れていました



少なくとも

観客席にいる私の五感に痛いほど
響いてきました…


トラックへの礼を終えてから



電光掲示板を見つめていました

長い時間 ずっと




ようやく歩き出した途端



悔しさが滲み出ていました




その後

一旦、気持ちを切り替え


死闘を繰り広げた相手への健闘を讃え
互いを労っている様でした


決勝を戦った全ての選手と

そして本当に
良きライバルに感謝



その後

仲の良いチームメイトが
すぐ近くで待ってくれていたみたいで

少し気が緩んだのか…



やっぱり優勝できなかった悔しさが溢れてきたようで…
本当に
何度悔しい思いをしたらいいんだろうか…




戦っている選手たちは本当に凄いし
素晴らしい


そして
たくさんの人に応援してもらえて
本当にありがたい






あらためてトウゴの結果は

山口県中学校陸上競技選手権大会
共通男子110mH決勝 第3位入賞‼︎

予選15.81     決勝16.04

あの足の状態で
予選の記録に次ぐセカンドベスト‼︎

優勝はできなかったけれど
今持てる力は全て出し切った
とても立派な走りだったと思います


ちなみに
トウゴの予選の記録と決勝の優勝記録は
僅かに0.01秒差でした…


そしてハードルを終えたあと
一切休む間なく
最後のリレーのアップに向かいました…




2日間の大会で1番最後のプログラム
「共通男子4×100mリレー」

その最終組3組目は事実上の4継の決勝
今回は怪我で正規のリレーメンバーではなく

かつ、トウゴの脚もかなり痛い状態のため

とても厳しいレースが予想され…

それでも、代わりに走る選手はいない…
補欠の選手もいない…
チームで欠場するか

それとも我慢して走るか
トウゴの中で
最初から決まっていました

欠場の選択肢は無いと…

親である私以外には誰にも脚のことは言わず…
選手たちは4人ともそれぞれの競技で死闘を尽くし

皆、誰もがキツイはず…

でも、いつも通りに淡々と
リレーに集中して
周りは応援するだけだけど


選手たちは逃げることなく

どんなに調子が悪くても脚が痛くても
言い訳もでぎず

結果という数字を
そのまま受け入れなければいけない…



今回もエース区間の2走を担当

県トップクラスのメンバーたちと勝負



裏話をすれば沢山あるけれど…  省略


結果、総合4位入賞


普通の感覚から言えば素晴らしいことだし

どんな結果であっても
リレーメンバー4人は常に
めちゃくちゃ一生懸命に走っている
本当に

それでも
1ヶ月後の通信陸上で優勝し
全国大会出場を目指しているチームとして
高い意識で臨んでいる以上

この経験を活かして
次に向かってスタートするしかない…

いつもいつも手前味噌かもしれないけど

トウゴの伸びしろには希望がある



スマートにできなくとも泥臭く
いくらでも足掻いてやる



トウゴもその覚悟で取り組む



 
だから、見とけよと …




待ってろ未来






今回のハードル決勝とリレーの結果は

1ヶ月後の大本命の大会に向けての

あえて
ハードルの神様がくれたプレゼントだと
そう思って



ふたたびこの舞台で


そして今度こそ


トウゴの夢を
トウゴの走りで

夢をカタチにできるように




一瞬の風になって



透悟物語、つづく…







追伸:

小さい時から、毎日怒られながらも
逃げ足だけめちゃくちゃ速かったトウゴ… 笑

干支はイノシシなのもあってか

不器用だけど単純に走るだけなら得意で
そのお陰で陸上選手になったのかも…

そのトウゴはちょうど10年前
動物園で初めて見る大きな虎に向かって
「おーい‼︎‼︎(怒鳴る)」

「こっちまでおいで〜 ベロベロべ〜」

と、虎に挑発しまくり、煽りまくり… 笑
「トウゴやめなさい!」と
お母さんから怒られたトウゴは…
反省の気持ちは微塵もなく
してやったりの表情で
更にバカにするように
鼻くそほじり始めるっていう… 笑
昔から、エラソーというか、全く物怖じせず

トウゴを良く知る人たちからは
良く言われてるけど、
桜木花道の性格にソックリ… 笑


その性格も良い方向に
導かれていってくれたらなぁと…   。

yamamura yusuke BLOG

5児の子育てなど山村勇介の 日常を綴ったプライベート中心の日記 「幸せな心と身体の健康づくり」 ウェルネスクリエイター wellness creator コンディショニングトレーナー  スポーツパフォーマンス / S&Cコーチ 心理カウンセリング / コーチング 経営/講演/執筆/健康教育